デザイン(意匠)を出願する際に、考えるべき点を説明します。
意匠の権利の取り方によって、採用するべき意匠出願の種類が変わります。
意匠出願の種類
意匠出願には、通常の意匠出願、部分意匠出願、関連意匠出願、組物の意匠出願、秘密意匠出願といった形式があります。
通常の意匠出願
一般的な意匠出願です。このケースの出願が多くを占めると思います。
後述の部分意匠の出願と区別するために、全体意匠の出願とも表現することがあります。
物品(商品)の全体の形態(デザイン)についての権利を目指すための出願です。
部分意匠出願
物品の一部分の形態についての権利を目指すための出願です。
物品の一部分のみに特徴があり、そのほかの部分はどんなデザインでもかまわない場合に、採用されます。
物品のその一部分のみが同一・類似であれば、そのほかの部分のデザインが異なっていても権利を主張できる点で、有利な出願です。
部分意匠の書き方は、全体意匠の出願とは異なるルールがありますので、特許庁のルールガイドを参考にしてください。
関連意匠出願
(左図は、本意匠(意匠登録第 15 1 15 98) 、右図は、関連意匠(意匠登録第1511914))
1つのデザインだけでなく、複数のデザインを権利化したい場合があります。
しかし、その複数のデザインが類似している場合は、関連意匠出願として出願する必要があります。
たとえば、Aというデザインを意匠出願し、その日後(またはAの意匠出願と同日)に、B(Aに類似したデザイン)を出願する場合に採用する出願です。
関連意匠出願を採用しないと、Bの出願は、Aの意匠出願に類似しているという理由で、権利化できなくなります。
この関連出願をすると、そのような事態を避けることができます。
一番最初のAの意匠出願を本意匠の出願、Bの出願を関連意匠の出願といいます。なお、関連意匠出願は、1個に限らず、何個でも可能です。
特許庁のルールガイドを参考にしてください。
なお、部分意匠出願の関連意匠出願、組物の意匠出願の関連意匠出願といったように、組み合わせることも可能です。
組物の意匠出願
同時に使用される二以上の物品(組物)を構成する物品に係る意匠は、組物全体として統一があるときに、一意匠として権利を目指すための出願です。
通常、意匠出願は、一物品のデザインでしか権利化できませんが、たとえば、食器セット(ナイフ、フォーク、スプーン)のようなもので、柄の部分が同一デザインであるばあいなどは、複数の物品であっても、権利化を図ることができます。
組物の種類は、法律で56種類に限定されています。
秘密意匠
出願するデザインをしばらく秘密にしたい場合に使用する出願です。
意匠出願は、審査の結果、権利化されると、そのデザインは、意匠登録公報に掲載されて、公に知られてしまいます。
しかし、そのデザインの販売がもう少し後であって、秘密にしておきたい事情などがあります。
その場合に、出願の日から3年を限界に、意匠登録公報の掲載を待ってくれます。
まとめ
意匠出願には、たくさんの種類がありますので、今後、出願する場合は、ぜひご検討ください。