出願審査請求の回復申請についてお知らせします。
平成27年4月1日から施行された制度で、
出願審査請求の期間(出願から3年)を過ぎた場合でも、救済してくれるうれしい制度です。
救済の条件
以下の2つです。
(1)期間を徒過したことについて「正当な理由」があること。
(2)その理由がなくなってから2月以内で請求期間経過後1年以内に手続きすること。
「正当な理由」は、相当の注意を払っていたにもかかわらず、期限を徒過してしまったものに限られます。
一般的に、天変地異、システムの不具合、入院(事故・病気)などが該当します。
ただし、単にこれらに該当する場合であっても、
審査請求期限を徒過しないように相応の措置を取っていた場合に限ります。
特許庁から以下のガイドラインが出されています。
出願審査請求の回復申請の実態
特許庁では、救済認否は第三者への影響が大きいことから、回復(救済)申請がなされた出願を、定期的にアナウンスされています。
現在、72件の回復の申請があります。
では、どれくらいの数が回復が認めれたのでしょうか?
確認したところ、下記の通りでした。
審査請求の回復が認められた案件: 3件
回復が認められなった案件 :45件
未決定 :24件
回復が認められる確率は、5%以下!
以下の3件のみでした。
特願2016-169268
特願2012-127587
特願2014-556764
どんな理由が認められたのか?
残念ながら、特許情報プラットフォームの「審査書類情報照会」に、
正当な理由が記載された申請回復書が開示されていませんので、
上記3件の具体的な理由は、分かりませんでした。
どんな理由が認められなったのか?
却下理由通知書に、理由が記載されていますので、救済が却下された出願については分かります。
例えば、
●特願2012-247943:
入院中の家族の容態が急変したことによる自己の精神的混乱により出願審査請求の手続をしたと誤認してしまった。
特願2015-533705
外国代理人から日本代理人に、審査請求する旨のメールを送信したつもりが、ウイルスのせいで送信できていなかった。
(受領確認等をきちんと行っていれば、防げた事項であるためです。)
●特開2013-217538:
期限管理システム(PATDATA)に、誤った審査請求期限を入力したことが原因で、期限管理システムからの警告が出なかった。
●特願2016-535291:
出願人の特許担当者(1人しかいなかった)が突発的に退職し、代替者を配置することができなかった。
●特願2013-206965
出願人の会社が休業中であって、連絡が取れなったため。