情報提供制度とは、特許庁に対して、刊行物や特許公報を提出して、特許出願に係る発明が特許を受けることができない旨の情報を提供する制度を言います(特許法施行規則第13条の3)。
簡単に言いますと、他人の特許出願の登録を阻止するような情報を特許庁に直接送付する制度のことです。
具体的には、「刊行物等提出書」という書類を特許庁に提出することを指します。
誰ができるの?
誰でも、情報提供することができます。制限はありません。
刊行物等提出書には、提出者の名前を記載する欄がありますが、匿名にすることもできます。名前の欄に、「省略」と記載すればOKです。
よって、相手方に身元を明かすことなく、情報提供が可能です。
特許を受けることができない旨の情報とは?
拒絶理由や無効理由に関する理由で、下記のものを言います。
①第29条第1項(新規性欠如)
②第29条第2項(進歩性欠如)
③第29条の2(拡大先願)
④第39条第1項~4項(先願)
⑤第36条第4項第1~2号(明細書の記載要件違反等)
⑥第36条第6項第1~3号(特許請求の範囲の記載要件違反)
⑦第29条第1項柱書(非発明又は産業上利用可能性の欠如)
⑧第17条の2第3項(新規事項追加)
⑨第36条の2第2項(原文新規事項追加)
情報のほとんどは、①~③、⑤、⑥に関するものです。
具体的には、特許公報、技術論文や書籍、雑誌、新聞といった刊行物、実験報告書などの書類を添付します。インターネット上の情報も提出することができます。
ただし、書類に限られますので、製品のサンプル、ビデオテープなどはNGとなります。
提出時期は?
・いつでも提出できます。すなわち、特許出願され、公開された後は、特許登録前でも特許登録後でも提出することができます。
ただし、特許登録後の情報提供は、その内容の記録が残るだけで、特許庁による審査の参考にはされません。このときのメリットは、他人が無効審判請求の参考資料にしたり、特許権者の権利行使を抑制できる可能性があるといったものになります。
一般的には、特許登録前に提出することにより、審査官に提出した情報を確実に見てもらい、審査の参考にしてもらいます。
フィードバック
提供者の住所や名前を明記した上で、フィードバックを希望する旨を記載すると、提供した情報が、拒絶理由に採用したかどうかの連絡が提供者にされます。
ただし、採用したかどうかだけの連絡であり、具体的な審査の結果などの連絡はされません。
具体的な審査結果は、特許情報プラットフォームの審査書類情報照会を見る必要があります。