現在は、消滅した特許ですが、2000年以前までは影響が大きかったサブマリン特許です。
サブマリン特許(Submarine Patent、潜水艦特許)とは、出願内容が長い期間公開されないまま経過した(潜伏した)後に成立する特許であって、特許権の存続期間が、特許成立日から起算される特許のことを言います。
法律の問題上、アメリカにのみ生じた特許です。
具体的にどんな特許なのか
昔のアメリカの特許法では、出願の内容は、特許が成立になってから公開されていましたので、特許が成立するまでは第三者は知ることができず、成立になって初めてその特許の存在に気付きます。
また、特許の存続期間(有効な期間)は、他の国では、特許の出願日から計算していましたが(たとえば、特許出願日から20年まで等)、アメリカでは、特許の成立日から17年間有効としていました。
このような制度を悪用して、特許成立の日をわざと遅らせますと(たとえば、10年とか20年とか)、その特許の技術は陳腐化して広く普及していきます。そのときをまって、特許を成立させるとします。
そうしますと、第三者にとっては、例えば10年以上も前の技術であるし、特許を調べても無かったから大丈夫だろうと考えて使用した後に、突如、特許が現れることになります。
その結果、第三者はその特許を侵害することになり、損害賠償やライセンス料を支払されます。
このような昔の技術は、使用し始めた第三者にとってはもはや回避できない技術である場合が多く、特に高額なライセンス料を請求されたりしました。
現在は?
現在は、2000年の改正法により、原則、出願から一定期間に(たとえ特許が成立されなくとも)その内容が公開されるようになりました。
また、特許権の存続期間も、1996年の改正法により、特許出願の日から原則20年となっています。
よって、このようなサブマリン特許が生じる可能性はなくなったと言えます。
代表的な特許
(1)レメルソン特許:製品の損傷等の検査のために電子画像を自動的に解析する方法に関する特許。
1954年出願、1992年成立。潜伏期間は、38年。
(2)グールド特許:レーザーに関する特許。
1959年出願、1987年成立。潜伏期間は、28年。
(3)ハイアット特許:マイクロコンピュータに関する特許。
1969年出願、1990年成立。潜伏期間は、21年。