「審査官面接」とは、審査官と、出願人やその代理人等とが特許出願の審査に関わる意思疎通を図るための面談を意味します。
すなわち、審査官と出願人等とが、書面のやり取りではなく、直接面会して、または、テレビ会議システムなどを通じて、特許出願の説明をすることを言います。
どんな種類があるのか
意思疎通の手段や面接場所に分けて、以下の4つがあります。
(1)特許庁での面接(一般的な審査面接)
(2)巡回面接(出張面接審査)
(3)テレビ面接
(4)電話面接
(1)は、特許庁(東京都霞が関)の庁舎内の面接室で面接します。
(2)は、出願人の近くの面接会場(特許庁指定)で面接します。審査官が全国各地の面接会場に審査官が出張してくれます。
(3)は、インターネット回線を利用したテレビ会議システムを通じて面接しますので、パソコンがあるところであれば、どこでも可能です(たとえば、出願人の会社の会議室や特許事務所の会議室など)。
しかも、拠点は最大10か所まで可能ですので、出願人と代理人とが別々の場所で面接することができます。
(4)は、電話での面接ですので、どこでも可能です。
だれが面接できるのか
(1)代理人(一般的には、弁理士)を通じて特許出願をしている場合は、その代理人になります。
この場合、知財部員や発明者は同席することができます。
(2)代理人がいない場合は、出願人本人です。出願人が法人(株式会社など)である場合は、知財部員になります。
発明者も同席することができます。
なお、巡回面接については、「全国各地域の中小・ベンチャー企業、大学・TLO等」に限られますので、出願人が大企業の場合は利用できません。
いつ面接できるのか
出願審査請求してから、①前置審査終了による審査官の特許庁長官報告か②特許査定までです。
①の期間が過ぎても、面接は可能です。
① の期間後は、審判官への面接となります。
特許出願を審査する対象が審判官になっただけで、基本的な手順や内容は、審査官面接と同じです。
面接のパターン
面接で技術説明するパターンとして、3つあります。
(1)本願発明の技術的特徴を説明するための面接
(2)本願発明と先行技術との対比説明のための面接
(3)明細書や特許請求の範囲の補正案を説明するための面接
(1)だけ行う場合もありますし、(1)~(3)の全部を行う場合もあります。
出願人側が自由に選択することができます。
パターンは特許庁側が独自に区分しただけですので、このパターンにこだわらずに自由に説明してももちろんOKです。
ただ、このようなパターンで内容を整理して説明すると、審査官には理解しやすく、面接する効果がより発揮されると思います。
面接の要請の仕方
出願人側から、電話・ファクシミリ・書類(上申書)などで、審査官に面接する旨を伝えます。
電話が手軽です。
後日、審査官から、日時や場所を指定してくれます。
原則、出願1件当たり1回は面接を引き受けてくれるようです。
また、審査官からも面接を要請してくることもあります。
面接の準備
弁理士・知財部員・発明者らが相談して、面接の目的や主張したいポイントを決定します。
そして、その目的に沿った面接資料を作成します。面接資料としては、
① 発明の技術内容を説明・図示したパワーポインタやDVD、
② 発明品の実物(持っていけるものであれば)
③ 補正案(補正する意図があれば)
があります。
手ぶらでは、審査官の理解が深まらなかったり、議論が深まらない場合がありますので、なるべく資料を作ることをお勧めします。
最後に
審査官面接は、書面(出願明細書や拒絶理由通知書)では分かりにくい意図を的確に把握でき、両者ともに適切に対処することができますので、特許査定率の向上につながります。
よって、重要な案件については積極的に行うことをお勧めします。
実際、東京の出願人では、積極的に行われています。
地方の場合は、地理的な理由で特許庁への訪問が困難な場合がありますので、
テレビ面接をしてみてはいかがでしょうか?使い勝手は良いと思います。
もちろん、審査官のフェーストゥフェースの方がより細かいコミュニケーションが図ることができますので、
ここ一番の重要案件については、特許庁での面接をお勧めします。
弁理士・知財部員・発明者がそろって地方から訪れた場合、審査官は、その発明の重要性を考慮して、特許にしてあげようと色々と考えてくれるはずです。
もちろん数件まとめて面接してくれます。
詳しい情報は、特許庁の面接ガイドラインに書かれていますので、ご参考にしてください。