美味しい料理や独創的な料理を思いついたとき、その料理そのものやレシピ(調理法)を特許として取得できれば、誰にも真似できないその店オリジナルのものとして売り出せますので、商品価値はぐっと上がります。
しかし、はたして、料理の特許は取得できるのでしょうか?
料理の特許は、取得することができます
実際に特許になった料理をいくつか紹介します。
(1)焼きカレー(特許2691213号)
【請求項1】
耐熱鍋にバターを塗り、その中にライスを入れ、その上にカレールーをかけ、更にその上に卵黄が中心になるように全卵を落とし、更にまたチーズを全体に降りかけた鍋ものを、オーブンにて全体を焼き上げた焼きカレー。
【発明の効果】
深みのある味で香りが良くしかも食欲をそそる外観性のすぐれる。
(2)すし(特許2777046号)
【請求項1】
寿司飯の上に、寿司ねたと共に、アロエベラの葉肉をのせた寿司。
【発明の効果】
アロエベラがのっているため、傷みにくく、長持ちすると共に、これを食することによって健康増進が図れる。
(3)天にぎり(特許3084480号)
【請求項1】
ご飯を一口または数口サイズの大きさに握り、その上に天丼たれ成分に板ゼラチンと粉寒天を加えた「にこごり」を固形にした調味料をのせ、さらにその上に天ぷらを置いた天にぎり。
【発明の効果】
大きさも食べごろサイズで、丼だれ等のバランスもよく、天ぷらやフライの歯応えを保持しつつ丼だれの風味や香ばしさもかもし出せて、丼なしでもミニ天丼またはミニフライ丼的な味わいを確保できる。
(4)つくねたんぽ(特許4875542号)
(写真はイメージです。出典http://blog.livedoor.jp)
【請求項1】
精米に水やスープ、つみれ生地を加え、炊飯器で炊飯して途中で沸騰して来たら米飯とつみれ生地が均一に混ざるようにかき混ぜて再度炊き、炊き上がり後、全体を混ぜ合わせてからキリタンポ製造機に入れて半ごろし状態に押しつぶし、棒串にたんぽ状に巻き、この串付きたんぽを炭火、バーナーにより表面を焼き上げた後、棒串を抜き出した、つくねたんぽ。
【発明の効果】
つみれ生地の旨味汁が米飯に浸み込み串焼きのきりたんぽとして付タレ等の調味料無しでそのままで食することができる。
料理が特許になるための条件とは?
料理に関する発明も、他の工業製品の発明と同様に、特許法の条件をクリアすれば特許になります。
料理の特許を取得するために特に注意すべき点は、3つあります。
(i)だれが作っても同じものを作れること(特許法上の発明であること)
その料理を思いついた人にしか作れない複雑な料理はダメです。
第三者に作り方を教えることができ、その第三者が同じ料理を再現できる必要があります。
(ii)新規性
新規性とは、今までに知られていないことを言います。
すなわち、世界中の今までに知られていない料理でなければなりません。
(iii)進歩性
進歩性とは、発明することが容易に思いつくことができないものであることを言います。
すなわち、普通の料理人がなかなか思いつくことができない料理でなければなりません。料理の創意工夫について高いレベルが求められます。
たとえば、ありきたりの材料を適当に組み合わせただけではNGです。
料理は、メリットが重要
その料理のメリット(発明の効果)について、考える必要があります。
単に、美味しいとか、見た目が美しいとか、漠然としたものではNGです。
人によって異なりますし、客観的に判断できません。また、今までに無かったからといった根拠でもいけません。
(こういったメリットだと、進歩性がないと判断されています。)
特に、その料理の形(構造)や、料理に使われている材料同士の関わりによって、食べる人にどういったメリットがあるかなどを説明する必要があります。
例えば、A材料とB材料とが層構造や箱形状になっているから食べやすい、A材料とB材料とがうまく絡み合っている形であるため風味が良くなっている、などがあります。
そのほかの特許
そのほかにもさまざまの料理の特許があります。興味のある方は、どうぞ。
特許5345418 | 皮付おにぎりの製造方法、および、皮付おにぎり |
特許4391390 | きりたんぽ |
特許3574598 | 甘酒とその製造方法 |
特許3486178 | 団子材料の製造方法および団子 |
特許3499372 | イカスミを用いたレトルト食品 |
特許3059694 | 寿 司 |
特許2949548 | おはぎの製造方法 |
特許2895648 | ライスコロッケおよびその製造方法 |
特公H06-026514 | うの花食品とその製造方法 |
詳しい見方は、特許情報プラットフォームのサイトで、
「特許公報・公告特許公報(B)」の欄に、特許番号を入力してください。
追記
お寿司や、つくねたんぽなどは、見た目からすぐに他人がマネできますので、特許を取る取得がとった方がメリットが大きいと思います。
一方、甘酒みたいな料理は、見た目から分からず他人はマネできませんので、特許によってレシピを公開するといったことをせずに、秘密(秘伝)にしておくのも有効な手です。