CDMA2000パテントプール(patent pool)とは、特定の技術の特許権を所有する企業や研究機関らが、広く第三者にライセンスするために、それらの所有する特許(パテント)を特定の組織にプール(共同利用のために蓄える)する仕組みのことを言います。
どんな組織がどんな特許をプールするのか?
特定の組織は、パテントプール管理会社です。通常は、特許を所有する企業などが共同出資して設立した会社になります。
プールされる特許を、いわゆる必須特許といいますが、その数は、数十から数百などに及びます。
技術分野はあらゆる種類があります。特に、情報通信やエレクトロニクスの分野でよく見られますが、医療や環境、遊技儀の分野などでも見られます。
パテントプールの具体例
パテントプールの例を、表にすると下のようになります。
名前 | 規格 | パテントプール管理会社 | ライセンス開始年、設立年 |
MPEG 2 | 画像圧規格 | MPEG LA, LLC | 1997年 |
DVD(3C) | 映像記録規格 | Philips Electronics N.V. | 1999年 |
DVB-T | 放送規格 | Sisvel, S.p.A. | 2001年 |
G.729 | 音声圧縮規格 | Sipro Lab Telecom | 2001年 |
IEEE 802.11(a-j) | 無線通信規格 | Via Licensing, Ltd. | 2003年 |
W-CDMA | 無線通信規格 | Sipro Lab Telecom | 2004年 |
CDMA2000 | 無線通信規格 | Sisvel, S.p.A. | 2009年 |
詳しくは、下記の特許庁サイトに列挙されていますので、興味がある方はこちらもどうぞ。
http://www.jpo.go.jp/kanren/patentpool_link.htm
パテントプールを行うメリット・デメリットとは?
メリットとしては、ライセンスを受けたい第三者は、パテントプール管理組織だけと交渉すればいいので、多数の特許権者と交渉する手間が省けます。また、個別に特許権者らとライセンス料を支払うと累積的に非常に高額となりますが、パテントプールでは、それよりも比較的低額のライセンス料でプールされた特許権を一括でライセンス契約できます。
一方、特許権者側のメリットとしては、パテントプール管理会社を通じて第三者が支払ったライセンス料を受け取れることができます。
デメリットとしては、大規模なパテントプールを結成した場合には、独占禁止法が適用される場合がありますので、この点を考慮する必要があります。たとえば、パテントプール管理会社や特許権者が、特定の新規参入者や特定の既存事業者に対するライセンスを合理的理由なく拒絶することにより技術を使わせないようにする行為は、独占禁止法が適用される可能性があります。すなわち、自社と競争関係にあるライバル会社だけは、ライセンスを拒否するといったことはできません。