スイスの高級腕時計「フランク・ミュラー」のパロディー商品の登録商標「フランク三浦」を、無効とした特許庁の審決の取り消しを求めた訴訟で、4月12日、知財高裁で、鶴岡稔彦裁判長が、判決を言い渡しました。
判決は、「呼称は似ているが、外観で明確に区別できる。」とのことで、フランク三浦が勝訴しました。
すなわち、「フランク三浦」の登録商標(商標5517482)は認められることになりました。
フランク三浦とは
「フランク三浦」の権利者は、株式会社ディンクスです。
フランクミュラーに見た目そっくりの腕時計に、「フランク三浦」の文字を印刷して販売しています。
簡単に言えば、大阪のお笑い珍時計です。
有名人も付けていて、そこそこ人気があるようです。
↓フランク三浦の商品
↓フランクミュラーの商品
これまでの経緯
2012年3月、商標出願(商願2012-23292)
2013年8月、商標登録(商標5517482)
2015年4月、フランクミュラーが無効審判請求
2015年9月、無効審決
2015年10月、フランク三浦が無効の取り消しを提訴
2016年4月、フランク三浦が勝訴
両者は似ているか
両者の商品(上の写真)を見ると似ていると思います。
ほぼそっくりです。いや、完全なパクリと言ってもいいと思います。
ただ、今回は登録商標の争いですから、商品そのものよりも、両者の商標が類似したり混同するかどうかで判断されます。
では、商標を比べてみます。
↓フランク三浦の商標(商標5517482:商品分類は時計)
↓フランクミュラーの商標(商標2701710:商標分類は時計、1994年登録)
呼称は、確かに似ていますが、外観は大きく違っています。
ミュラー側は、ローマ字ですが、三浦側は、カタカナ+漢字、しかも、ヨレヨレした書体です。
イメージも、ミュラー側は、外国人ですし、三浦側は、日本人です。
実際の販売状況をみても、ミュラー側は、100万円を超えたりしますが、三浦側は、4000~6000円の低価格です。
たしかに、判決の通り、これらの商品を混同する人はいないと思います。
気になる点
たしかに混同の点は問題ないと思いますが、
有名ブランドに乗っかって商売するフリーライド(ただ乗り)には該当するような気がします。
フランクミュラーが有名でなかったら、フランク三浦の時計は売らなかったし、商標登録しなかったはずです。
混同しなくても、有名ブランドにフリーライドすれば、商標無効になりますので(商標4条1項19号違反)、
判決では、この点がどのように判断されたのか気になるところです。