「内的付加」とは 特許請求の範囲(クレーム)における補正の一形態です。
請求項に記載された発明において、既に記載されている発明特定事項(構成要素)の一部を限定する補正のことを言います。
例えば
請求項1に記載された発明が、
「Aと、Bとを備える発明」である場合に、Bの構成要素を限定して、「Aと、(b+B)とを備える発明」に補正することが外的付加に該当します。
具体的には、
例1
「特定形状の足(A)と、背もたれ(B)とを備える、椅子」
↓
「特定形状の足(A)と、四角形状(b)である背もたれ(B)とを備える、椅子」
に補正する場合です。
既に記載されている「背もたれ」という発明特定事項を限定しているので、内的付加となります。
例2
「樹脂(A)と、金属粒子(B)とを備える、塗料」
↓
「樹脂(A)と、鉄粒子(B)とを備える、塗料」
に補正する場合です。
既に記載されている「金属」という発明特定事項「を」鉄という下位概念に限定しているので、内的付加となります。
補足1
「内的付加」に相対する言葉として、「外的付加」があります。「外的付加」は、新たに別の発明特定事項を追加(付加)する形の補正です。
「内的付加」は、一般的には、限定的減縮に該当するのであれば、補正可能な時期内であれば、いつでも可能となります。
補足2
「内的付加」に似た概念として、「限定的減縮」があります。人によっては、限定的減縮=内的付加として使用している方もいらっしゃいます。
限定的減縮は、特許法17条の5第2項に規定されています。
具体的には、以下の5態様があります。
内的付加は、そのうち、(ii)や(iii)に対応するものです。
(i) 択一的記載の要素を削除する補正
(ii) 発明特定事項を直列的に付加する補正
(iii) 上位概念から下位概念へ変更する補正
(iv) 多数項引用形式請求項の引用請求項を減少させる補正
(vi) 発明特定事項が択一的なものとして記載された一つの請求項について、その択一的な発明特定事項をそれぞれ限定して複数の請求項に変更する補正