つい先日(2018年5月20日)、弁理士試験の一次試験が行われました。
これに先立って、特許庁から弁理士試験志願者の統計が発表されました。
統計によると、今年も例年と同様に、弁理士志願者が減っています。
今年は?
今年の志願者は、3977人です。
2001年の統計が残っている中では、最小人数となっています。
去年が4352人でしたので、前年比8%減です。
10年前が、過去最高の志願者数を記録し、10494人でした。
10年前と比較すると、約38%の人数になっています。
弁理士になりたい人が、激減していることが顕著になっています。
10年前をピークに、完璧な右肩下がりです。
弁理士受験者が下がっている理由
1.弁理士の取り巻く環境の厳しさ
昔と比較すると、弁理士は儲かるというイメージがなくなっています。
日本の特許出願件数が低下し、弁理士への依頼件数が低下しています。
日本の年間出願件数は、2005年付近の約43万件をピークに減少していき、リーマンショックで大きく減少し、その後は現在に至るまで約31万件で横ばいです。
仕事(アウトプット)に求められる要求も年々厳しくなっています。
企業が、特許明細書において量から質へと転換しており、企業の知財部のレベルも上がっています。
そのため、昔は、特許事務所に任せきりだった特許明細書にも、いろいろチェックや要求(注文)が入り、1件1件にかかる時間や負荷が増大しています。
従来は(今も)、
企業の研究部門や知財部時代に、弁理士に興味
↓
特許事務所へ転職
↓
特許事務所で弁理士を目指し、試験を開始
が主流です。
企業に勤めているときに、弁理士の良さ(とくに、お金の面)で旨みがなく、決して楽な商売ではないと感じる方が多くなり、特許事務所に転職しなくなったのでしょう。
(弁理士は、やりがいがあり、知的好奇心を満たす面白い職業なのですが…)
2.大幅な合格者の増加
2000年以前は、合格者が100人前後でした。
それが、2010年くらいには、700人にまで一気に増えました。
現在は、200~300人くらいです。
弁理士会は、弁理士を1万人にするという目標をかかげ、
弁理士の出血大サービスといった感じで、合格者を激増させました。
このサービスによって、弁理士になりたい人が、おおかた弁理士になって、
一段落ついた状態ではないでしょうか。
この志願者減少の傾向は、今後も続くとも思います。
あとがき
筆者としては、今後は、弁理士試験の合格者を大幅に減らすべきだと思います。
例えば100人の合格者にしてみてはどうでしょうか。
それでも合格率は2%少々となり、2000年当初くらいの難易度です。
そうすれば、弁理士試験の価値も上がりますし、弁理士試験合格者のレベルも上がり、結果として、弁理士の質も上がり、クライアントの利益につながるのではないでしょうか。