今回は、特許初心者のために、特許出願の種類について説明します。
特許出願には、通常の特許出願以外に、国内優先権主張出願、分割出願、変更出願といった特殊な出願が存在します。
国内優先権主張出願
先の特許出願(先の出願A)に対して、優先権を主張した特許出願(後の出願B)のことです。
「優先権を主張」すると、後の出願Bに記載された発明の中で、先の出願Aに記載された発明については、先の特許出願時を基準に、特許性(新規性、進歩性)を判断されます。
先の出願Aに新たな内容を追加したい場合に、頻繁に行われる出願です。
使用ケース:
①先の出願Aの発明αに対して、その改良発明βをしたので、発明αと改良発明βとをまとめて権利化したい。
②先の出願Aに、データが不足していたので、データを不足したい。
優先権を主張できる期限:
先の出願Aの出願日から1年以内です。
留意点:
先の出願Aは取り下げられ(出願Aは消滅します)、後の出願Bで権利化を目指します。
使用頻度:
かなり高いです。
分割出願
先の特許出願Aに複数の発明が含まれている場合、そのうちの一部の発明を抜き出した新たな特許出願のことを言います。
新たな特許出願(分割出願)の発明は、先の特許出願Aの出願時を基準に判断されます。
新たな特許出願(分割出願)に対して、さらにそのうちの一部の発明を抜き出した新たな特許出願(分割出願の分割出願)もあります。
先の特許出願を親出願、分割出願を子出願、分割出願の分割出願を孫出願とも言います。
使用頻度:
高くはないが、使用されます。
変更出願
先に出願した特許出願を、実用新案登録出願か意匠登録出願として提出し直した出願のことを言います。
新たな変更出願(実用新案登録出願や意匠登録出願)は、先の特許出願Aの出願時を基準に判断されます。
先に出願した実用新案登録出願を、特許出願か意匠登録出願として提出し直すことも可能です。また、先に出願した意匠出願を、実用新案登録出願として提出し直すことも可能です。
ただし、出願人は、特許、実用新案、意匠の長短所を理解した上で、特許出願を選択しているため、それを出願後に変更するようなことはめったにありません。
使用頻度:
ゼロ(知らなくても、なんら支障はありません。)