今回は、特許事務所のホームページを見て、特許出願の料金体系や出願費用がいくらかかるかよく分からない方に、料金体系をご説明します。
特に、特許出願が初めてや不慣れなの方(たとえば、中小企業・ベンチャーの方、個人事業主の方、個人発明家など)に、必見です。
費用の種類
特許出願の際に、支払う費用には、2種類あります。
印紙代 :特許庁に支払う費用で、一律14000円。
弁理士費用:出願書類(特許明細書)の作成や出願作業に対して、特許事務所の弁理士に支払う費用
出願書類を自らで作成して、自ら特許庁に出願作業を行えば、印紙代の14000円だけとなります。
ただ、出願書類は、高度な専門知識や経験がないと作成できませんので、
通常は、特許事務所の弁理士に頼むことになります。
特許事務所の料金体系
特許事務所のホームページで、
出願費用の料金項目をみると、特許事務所によってバラバラです。
項目として、代表的なものを挙げます。
基本手数料 ○○円
請求項ごとの加算額 ○○円/項(○○円×請求項数)
タイプ代(文字入力代など)○○円/頁(○○円×頁数)
電子化手数料 ○○円
要約書作成代 ○○円
願書作成代 ○○円
図面代 ○○円/枚数 、実費など
たくさんの項目があって、どの費用がかかるのかよく分からないという方がいらっしゃいます。
簡単です。全部、足してください。
出願料金の枠内にある料金は、ほぼすべて必須です。
請求項数が分からない、頁代が分からない、図面代が分からない
これらの項目は、実際に特許書類を作成し終えるまで分かりません。
一般的な目安として、
請求項5~10項、
頁代10~15枚、
図面代5~10枚(または約3~5万円)
の範囲で、見積もってみると良いと思います。
A特許事務所と、B特許事務所とで項目が違う場合
A特許事務所では、願書作成代、要約書作成代、電子化料金があるけど、
B特許事務所では、これらの項目がなかったというケースがあります。
こういったケースでは、願書作成代や要約書作成代は、B特許事務所の基本料金の中に含まれています。
昔(今も)は、こと細かく分類していましたが、
これらの願書作成や要約書作成、電子化は必須の作業ですので、
簡略化して、基本手数料にまとめる事務所が増えています。
項目がまとまった料金体系の方が分かりやすく、お客さん目線の丁寧な事務所と言えるでしょう。
特許事務所の出願費用は、総額いくらかかるのか?
発明の内容(簡単な日用品から複雑な機械、専門知識を伴う商品など)によって、大きく変わります。
発明の内容によって、手間や書類の枚数が変わるからです。
専門家である弁理士でも、実際に作成してみないと、枚数が何枚になるか正確には分かりません。
目安としては、20万~40万円です。
簡単な発明であれば、20万前半~真ん中、
複雑な発明であれば、30万円台、
中程度の発明なら、20万円後半と、
見積もっておいた方が予算としては安心です。
発明を図面で表すと、簡単な線図で描け、4~5枚くらいの量で収まるのは、簡単な発明と言えます。
逆に、図面が10枚以上になり、かつ、1つ1つの図面が細かくなるものは、複雑な発明と言えます。
特許事務所のホームページに、料金体系が書いていない場合
直接電話などで連絡して、料金体系を訪ねると、教えてくれることもありますし、教えてくれないこともあります。
こういった事務所は、中小企業や個人発明家、一見さんなどからの依頼を重要視していない事務所である可能性があります。
もし特許出願に慣れていなくて、初歩的なことから丁寧に教えてほしい場合は、
こういった事務所は、適していないかもしれません。
特許に不慣れな方に丁寧な対応を心掛けているのであれば、その態度は、ホームページにも表れてきます。
激安価格の事務所は?
たとえば、10万円前半で、格安を目玉にしている事務所があります。
特許書類の作成には、初めてのお客からの依頼であれば、
発明の内容の理解やその書類作成には、多くの時間がかかります。
時に、ベテランの弁理士でも、ゆうに1週間かかる場合があります。
そうすると、10万円代前半では割に合わないと感じた弁理士の中に、
決して良くないケースですが、ちゃっちゃと短時間で作成してしまう人も考えられます。
そうすると、特許書類の品質が劣る場合があります。
品質は、権利化や権利範囲の広さに大きく影響します。
大事な発明を特許事務所に依頼する場合は、安かろう悪かろうとならないように、適正価格を踏まえて検討する必要があると思います。
そのほか
上記は、特に、中小企業や個人発明家などの小規模依頼の料金を想定しています。
大企業は、ボリュームディスカウントを条件に、各特許事務所と、独自の料金体系を設定していることが一般的です。
画像:http://www.caa.go.jp/