今回は、第2話です。パロディがテーマです。あらすじを言いますと、月夜野ドリンクの看板商品「緑のお茶屋さん」(お茶)のパロディ商品として、「緑のオチアイさん」(チョコレート菓子)が地方のお菓子屋さん(落合製菓)から販売されていることが判明。月夜野ドリンクの増田社長が「訴訟や!」と激怒。主人公である知財部員「藤崎」(芳根京子さん)が、落合製菓に交渉しに行くが、落合製菓社長のとても良い人柄に触れて、「緑のオチアイさん」の差し止めに葛藤することに。その一方、藤崎の友人である猫カフェ経営の「根岸ゆき」が販売している「ふてぶてリリィ」のバックが、商標権侵害しているとして警告状が…。商標にまつわるトラブル続出に、藤崎はどう対処する?
詳しい内容は、公式HPそれってパクリじゃないですか?|日本テレビ (ntv.co.jp)をご覧ください。
今回は、ツッコどころも有りますが、実務的に正確なところがあり関心したところがありましたので、その点も書いていきたいと思います。
実務的に正しいところ
パロディ商品「緑のオチアイさん」の販売差し止めについて、北脇弁理士は、厳しいと判断しつつも「不正競争防止法まで視野に入れれば、付け入る隙はあるかもしれない」と発言しています。実務的なところ、「緑のオチアイさん」はチョコーレ菓子であり、「緑のお茶屋さん」はお菓子なので、商品区分が非類似ですので、「緑のお茶屋さん」の商標権では、「緑のオチアイさん」を差し止めることはできません。一方、不正競争防止法では、2条1項1号(周知表示混同惹起行為)では、パッケージデザインが類似していて、他人(月夜野ドリンク)と混同するものであれば、商品区分の類似・非類似は問わないので、不正競争防止法では、「緑のオチアイさん」を差し止めることは可能です。
商標権侵害で駄目なら、不正競争防止法や著作権法で攻めるというのは、一般的です。ただし、不正競争防止法は、商標法と違い、損賠賠償額などが低額になりにくく、他人の混同などを立証しなければなりませんので、商標法と比べると、弱いと言わざるを得ません。
なお、ドラマでは、パロディで、「白い恋人」(クッキー)と、そのパロディ商品「面白い恋人」(ゴーフレット)とで訴訟になった事件を挙げています。しかし、これらは、共に、お菓子で、商品区分は同じですので、「白い恋人」の販売会社(石屋製菓)が、商標権侵害で「面白い恋人」の販売会社を訴えました。この事件は、和解になりました。
つっこみどころ
北脇弁理士は、この放送会の終盤にて、落合製菓に対して、「御社商品は、月夜野ドリンクの商標権を侵害していると認識しています」と発言しています。
しかし、これはハッタリですね。上記しましたように、北脇弁理士は、藤崎との相談にときに、商標権侵害は厳しいが、不正競争防止法では可能性があると言っていますので。