今回は、第6話と第7話です。会社の有り方としてのツッコみどころは多いですが、知的財産の実務的な面で特におかしいと指摘すべきところは、徐々に減ってきていますので、今回は2話分を指摘したいと思います。第6話は、ノウハウや官能評価、第7は、パテントトロールがメインのテーマです。詳しい内容は、公式HPそれってパクリじゃないですか?|日本テレビ (ntv.co.jp)をご覧ください。
つっこみどころ1
第6話では、北脇弁理士(重岡大毅)が、官能評価は曖昧だから嫌いであるとか、官能評価は誤差5%であることが必要とされると説明しています。
しかし、食料品の分野では、味覚の評価が重要なので、官能評価はよく用いられるものですから、好き嫌いとは言っていられません。誤差5%以下が必要とされる実務的根拠も乏しいです。
最近は、分析技術の進化により、糖度など数値化することができますので、官能評価を用いない出願も多いですが。なお、当方は、10年以上前ですが、食パンの「もちもち感(もっちり感)」を官能評価のデータで出願したことがあります。もちもち感をパネラーに5段階評価してもらうという典型的な官能評価です。
つっこみどころ2
奥さんは、特許権の存在を知っていたはずです。
第7話では、月夜野ドリンクが、パテントトロール(今宮食品)に対抗するため、「青山製薬堂」の特許権を買い取りに、「青山製薬堂に向かいます。そうすると、特許権を取得した男性はすでに他界し、その奥さんが出てきます。その奥さんは、特許権が存続していることを知らないと言っていますが、その可能性は低いです。なぜなら、その特許は13年以上前から出願し存続していたという設定であるため、特許権維持のための年金を定期的に支払っている可能性が高いからです。
男性が他界前に、一括で全額支払っていた可能性もありますが、10年以降の年金は高額(毎年最低6万円以上)であり、青山製薬堂の経営は厳しかったという設定ですので、そうであれば、毎年分割して支払えばよいので、前もって一括で支払うのは経営的におかしいような気もします。