昨年から今年にかけて、世間を賑わしたSTAP細胞の特許出願の現状をまとめました。
STAP細胞とは、
刺激惹起性多能性獲得細胞(しげきじゃっきせいたのうせいかくとくさいぼう)、
Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency Cellの略称です。
出典http://www.imart.co.jp/12.26-stap-saibou-asa.jpg
STAP細胞は、特許出願されています
STAP細胞に関する出願は、国際特許出願WO2013/163296です。
小保方晴子氏が発明者として出願されている特許出願を調べたところは、この1件だけでした。
この国際出願は、8か国に国内移行されていますので、
現在、この8か国で出願されている状況です(2015年12月現在)。
国名 | 公開番号 |
アメリカ | US2015110749 |
オーストラリア | AU2013251649 |
カナダ | CA2885576 |
韓国 | KR20150045935 |
シンガポール | SG11201407768Q |
中国 | CN104718283 |
日本 | 特開2015-516812 |
ヨーロッパ | EP2844738 |
ちなみに、日本では、理化学研究所が権利放棄して、ブリガム アンド ウィメンズホスピタル社単独の名義になっています。
他のアメリカなどの国でも、理化学研究所は権利放棄しています。
↑国際特許出願WO2013/163296の図面に描かれたネズミ
出願の内容
では、出願の内容を見てみましょう。
請求項1は、
「細胞をストレスに供する工程を含む、多能性細胞を生成する方法。」
となっています。
非常に広い範囲です。
ただし、調査報告書(サーチレポート)には、請求項1に対して「新規性無し」と判断されていますので、この範囲ではまず権利化されないはずです。
しかし、請求項(発明の数)は、なんと74つもあります。
この中には、新規性・進歩性ともに、OKと判断されている請求項が30以上もありますので、
特許される可能性が十分にあります。
ただ、このSTAP細胞は、他の研究所の論文などでその存在が否定されていますので、
その観点で、特許が認められるかどうか非常に疑問です。
日本特許庁などの各国特許庁は、特許出願に書かれた実施データ(STAP細胞の存在)を正しいものとして審査するのでしょうか?
それとも疑わしいものとして審査して、何らかの拒絶理由を通知するのでしょうか?
興味があるところです。
TOP画像出典:http://www.huffingtonpost.jp/2014/04/08/obokata-stap-kaiken_n_5115222.html