今、台湾の鴻海精密工業による買収で、話題になっているシャープ株式会社。
その創業者である早川徳次氏の発明について説明します。
早川徳次(はやかわ とくじ、1893-1980年、東京生まれ)
シャープペンシルの実用化
早川氏の偉大な発明の一つが、シャープペンシルです(1915年(大正4年)発明)。
おボタンをカチカチと押すと、細い黒鉛の芯が先端から繰り出してくる機械式鉛筆です。
(当時の発明は、ノック式でなく、回転式でした。)
正式名称は、早川式繰出鉛筆(はやかわしきくりだしえんぴつ)と言います。
画像:http://www.platinum-pen.co.jp
繰出鉛筆自体の発想は、アメリカなどですでに存在していましたが、玩具レベルで実用的ではありませんでした。
それを実用化し、普及させることに成功しました。
早川氏が工夫した点
・壊れやすいセルライド製を、丈夫な金属製(内部が真鍮、外側がニッケル)に。
・芯を細くした。
・出した芯は指で戻していたが、逆回転に回すことにより芯が収まる方式に。
・最大まで繰り出すと、芯が自動的に外れるようにした。
・鉛筆のお尻部分に消しゴムを付けた。
など
国内と外国で、実用新案登録を、48件取得しました。
その一例の実用新案登録第54357号の図面。
当時は、エバー・レディ・シャープペンシル(Ever Ready Sharp Pencil、常備芯尖鉛筆)の名称として売り出しましたが(米国で商標登録)、
その後、シャープペンシルに改名しました。
早川氏のそのほかの発明
徳尾錠(とくびじょう):1912年(明治45年)
実用新案登録25356号。
穴を開けずにベルトが締められるバックルです。
なお、名前は、早川氏の名前(徳次)から一文字とっています。
水道自在器(蛇口):1913年(大正元年)
取り付け部品を9個から3個にして、簡単に取り付けられるようにした蛇口です。
30分かかっていた取り付け時間を1分に短縮することに成功しました。