小学生の神谷明日香ちゃんが、特許を取得したことがニュースになっています。
その特許発明は、アルミ缶とスチール缶とを自動分別できるごみ箱です。
そんなスーパー小学生の発明を、特許明細書をまじえて説明していきます。
発明をしようとしたきっかけ
小学校5年のときの夏休みの自由研究の作品らしいです。
スーパーの経営者である神谷明日香ちゃんのおじいさんが、
毎日、ごみばこからアルミ缶とスチール缶を一生懸命、分別している姿を見ていました。
そんなおじいさんの作業を楽にしてあげたいとの思いで、ごみ箱作りを始めたとのことです。
おじいさん思いの優しい子供ですね。
おじいさんとしては、自慢の孫に違いありません。
「空き缶分別箱」特許5792881
特許請求の範囲
「天板部の開口と、空き缶を開口の一方の長辺側から他方の長辺側へ案内して他方の長辺の下方に連なる壁部に当接させる案内板とを有する投入部と、
壁部の下端付近にある磁石と、
壁部から下垂された下垂シート片と、
下垂シート片の鉛直下方位置に設けられる分離壁と、
を有する空き缶分別箱。」
簡単に言いますと、
空き缶の投入口に、空き缶を斜め前方に転がす案内板を設け、その転がった先に磁石が付いた壁を設けます。
その壁に、ペラペラのシート(下垂シート片)を垂れさせます。
そのシートの下には、スチール缶用とアルミ缶用とに仕切る分離壁を設けます。
メカニズム
スチール缶を投入した場合、スチール缶は、磁石にくっつこうとして、
斜め前方に転がって落ちていきます。
そうしますと、スチール缶は、いきおいよくペラペラのシートを押しのけて、
シートの向こう側(前方)に落ちていきます。
一方、アルミ缶を投入した場合、アルミ缶は、磁石にくっつきませんので、
そのまま真下に落ちていきます。
たとえ、前方に進もうとしても、ぺらぺらのシートに押し返されて、シートの手前側(後側)に落ちていきます。
このようにして、スチール缶は、ペラペラのシートの前側に、
アルミ缶は、ペラペラのシートの後側に分別されます。
実験データ
この小学生のすごいところは、実験結果をたくさんしているところです。
ペラペラのシートの長さを10cm単位で調整し、それぞれ50回ずつ空き缶を投入して、成功率を図っています。
発明のポイントは、2つ
1つめは、小学校3年生のときの理科の実験です。
鉄やアルミニウムの板を斜めにして、その上に磁石を置く実験です。
鉄は磁石にくっつくので、磁石は、鉄板にくっついたまま落ちません。
アルミニウムは磁石にくっつかないので、磁石は、アルミニウム板から滑り落ちていきます。
2つ目は、ごみ箱作りにいきづまったときに、何気に遊んでいたときの動作です。
磁石をつけた定規に缶をつけて、ぶらぶらしていると、缶がすっと外れるのを目撃しました。
これらから、発明が完成したのですが、この2つのポイントから実際の発明はさらに改良点・工夫点が盛りだくさんです。
小学生が発明したとは思えない完成度です。
本当にすごい小学生だなと感心するばかりです。