今回は、特許業界で使用されているマニアックな専門用語を説明します。
ミラー出願(基礎ミラー出願)とは、元となる出願(基礎出願、親出願)と全く同じ内容で出願した国内優先権主張出願(または分割出願)を言います。
元の出願の内容をそのまま反映しているから、ミラー(鏡)出願です。
なぜ、ミラー出願をするのか?
元の出願が、別の国内優先権の基礎になっていて、取り下げられる場合に、元の出願を生かすためです。
具体例を2つほど上げます。
一番よくあるパターン
・基礎出願A(内容α)
・国内優先権主張出願B(内容α、β)
・基礎出願Aと主張出願Bの両方を権利化したい。
このパターンでは、基礎出願Aは、出願Bの国内優先権主張によって取り下げられてしまいます。
そこで、基礎出願Aに対して、ミラー出願(国内優先権主張出願C)をします。
そうすれば、ミラー出願Cで権利化を図ることができます。
なお、分割出願ではなく、基礎出願Aから1年以内に、優先権主張出願するのが一般的です。
(ミラー出願について、基礎出願Aの出願日に遡って、29条の2の後願排除効果が得られるため、かつ、新規内容も補充できるためです。)
パターン2
・基礎出願A(内容α)
・国内優先権主張出願B(α+β)
・国内優先権主張出願C(β+γ):基礎出願Aから1年経過
・出願Bと出願Cの両方を権利化したい。
この場合は、ミラー出願として、出願Bを親出願とする分割出願Dをします。
なお、このパターンでは、ミラー出願として、出願Bを基礎とした国内優先権主張出願は不適切です。
内容αについては、すでに出願Bで出願Aに対して優先権主張しているため、優先権の利益を享受できないためです。
(トップ画像出典:http://jikokansatsu.com)