今回も、特許業界でのみ使用されているマニアックな専門用語を説明します。
リクレームとは、明細書の【課題を解決するための手段】の欄に記載されている特許請求の範囲(クレーム)の繰り返し部分を言います。
特許請求の範囲に書かれている事項を、明細書内で担保(サポート)する必要があるため、
ほとんどの明細書で書かれています。
書き方
特許請求の範囲をそのままコピーするだけです。
ただし、1点だけ注意する点があります。
それは、リクレームでは、「請求項」という文言を使用しないことです。
それさえ守れば、書き方は、もちろん自由です。
書き手によって、バラバラです。
リクレームの書き方のパターン
よくあるパターンを、3つほど紹介します。
パターン1:「請求項○」を「<○>」に修正する。
パターン2:「請求項○」を「項○」に修正する。
パターン3:「本発明は、…が好ましい」と表記する。
具体例
具体的に説明していきます。
特許請求の範囲が下記の場合だったとします。
【請求項1】
・・・・・・・・・・・・・する、画像装置。
【請求項2】
・・・・・・・・・・・・・する、請求項1に記載の画像装置。
【請求項3】
・・・・・・・・・・・・・する、請求項1または2に記載の画像装置。
パターン1の具体例
<1>・・・・・・・・・・・・・する、画像装置。
<2>・・・・・・・・・・・・・する、<1>に記載の画像装置。
<3>・・・・・・・・・・・・・する、<1>または<2>に記載の画像装置。
パターン2の具体例
項1.・・・・・・・・・・・・・する、画像装置。
項2.・・・・・・・・・・・・・する、項1に記載の画像装置。
項3.・・・・・・・・・・・・・する、項1または2に記載の画像装置。
パターン3の具体例
本発明は、・・・・・・・・・・・・・する、画像装置である。
また、本発明は、・・・・・・・・・・・・・することが好ましい。
また、本発明は、・・・・・・・・・・・・・することが好ましい。
「請求項」という文言を書かない理由
一般的な理由としては、「請求項」は、【特許請求の範囲】の書類に記載されるものだからです。
明細書は、権利を請求する書類ではありません
(もちろん、権利範囲には多大な影響を与えますが)。
しかし、実際のところ、日本国内の明細書では、リクレームに「請求項」を記載しても問題ありません。
それを規制する法的根拠は国内法にはありません。
本当の理由は、外国出願
特に、中国出願です。
「中国審査指南の第二部分 実態審査、第二章 説明書と権利要求書、2.2 説明書の記載方法と順番」には、下記の記載があります。
「(五)発明又は実用新案の説明書は規範的な用語、明確な語句を使用しなければならない。
「請求項…に記載されたように」などといった引用語や、商業的な宣伝用語を使ってはならない。」
すなわち、中国出願では、リクレームに「請求項」の文言を記載すると、拒絶理由が通知されます。
もちろん、この拒絶理由が通知された場合には、「請求項」の文言を削除すればよいのですが、
不要な拒絶理由をもらうのは費用や手間の観点から、好ましくありません。
トップ画像出典:http://www.studio-one.co.jp/dpe/ptop/ptop.html